2025年11月21日(金)、細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』がついに公開される。緻密で美しい風景描写と、誰もが心を揺さぶられるストーリー展開で、国内外に多くのファンを持つ細田監督の作品。その輝かしいキャリアの原点ともいえるのが、2006年に公開され、今なお色あせない青春SFアニメーション映画の金字塔『時をかける少女』だ。
※一部、作品の内容についての記述があります
『時をかける少女』から始まった細田守ワールド。中井の街を歩けば“青春の記憶”がよみがえる
ひょんなことから時間を飛び越えて過去に戻る能力“タイムリープ”を手に入れた高校生の真琴。この能力を使って日常を謳歌する真琴だったが、ある出来事をきっかけに運命の歯車が少しずつ狂い始める…。

何度見ても胸が締め付けられるような切なさと、キラキラした青春のきらめきに満ちた真琴たちの世界は、東京に実在する街並みがモデルとなっている。舞台となったのは西武新宿線・中井駅周辺。主人公・真琴が駆け抜け、笑い、悩み、そして“時をかけた”場所を、映画の名シーンを思い浮かべながら巡ってみよう。最新作を見る前に、細田監督作品の原点をたどる旅へ、いざ、“あの夏”にタイムリープだ。
作品の舞台は、懐かしくも新しい“日常の街”・中井
『時をかける少女』は、筒井康隆の名作小説(角川文庫刊)をもとに、細田監督が原作の20年後の世界を描いたアニメーション映画だ。ごく普通の高校生・紺野真琴が偶然時間を飛び越える力を手に入れるところから物語が始まる。細田監督ならではのリアルな青春描写と、時を超えて響くエモーショナルなストーリーが融合し、国内外で高い評価を獲得。その後の『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』へと続く、“家族と時間”をテーマにした作品群の出発点となった。

そんな『時をかける少女』の舞台としてまず訪れたいのが、中井駅南口を出てすぐ、右手に広がる「中井商友会」。かつてこの通りの入口には、映画に登場するシーンとそっくりのアーチ看板が掲げられ、真琴たちが通学の途中に通り抜ける風景として印象的に描かれていた。


現在は、橋の欄干と商店街がそのままつながる開放的な景観へと変化している。残念ながらもうアーチは見られないが、アーチがあったころの様子を想像しながら歩けば、夕方になると商店の明かりがともり、地元の人たちが行き交う光景に、真琴たちの放課後の様子を肌で感じることができるだろう。

続いて向かうのが、中井駅から北に位置する「哲学堂公園」。この公園は真琴がクラスメートの間宮千昭、津田功介と一緒に野球をする場所として登場するが、少しだけ遠回りをして風情ある妙正寺川沿いを歩いて向かうのがおすすめ。

作中に妙正寺川は登場しないが、ゆったりとした川の流れと昔ながらの家々や飲食店が立ち並ぶ光景は、作品で描かれている穏やかな日常にリンクしているかのようだ。
3人の笑い声がよみがえる「哲学堂公園」の野球場
川沿いの散歩道を抜け、いよいよ哲学堂公園へ。真琴、千昭、功介の友情を象徴する、ファンにとって非常に重要な場所だ。3人がいつも放課後にキャッチボールやノックをして過ごした野球場は、公園内の「哲学堂運動施設野球場」がモデルとなっている。



映画公開当初、「映画とそっくり!」と話題になったグラウンド脇の手洗い場は、現在、公園整備によりなくなってしまった。だが、グラウンドを囲むフェンス、そして夜空を照らす巨大な照明塔など、映画の中の風景を目にすると、真琴たちの屈託のない笑い声が聞こえてきそうだ。



そしてグラウンドのすぐそばには、野球を終えた真琴が自転車にまたがり、「じゃあ、まったね~!」と2人に手を振って帰っていく、あの緑豊かな小道も。木漏れ日の中を駆け抜けるその姿が目に浮かぶようで、ファンにとってはたまらないフォトスポットに。

クライマックスの舞台、物語が大きく動いた“運命の踏切”
最後に訪れたいのが、この物語の行く末を決定づけたあまりにも重要なあの場所、中井駅南口にある踏切である。ブレーキの壊れた自転車で、真琴が猛スピードで駆け下りていった坂道。そして、遮断機が下りた踏切へと突っ込んでしまう、あの衝撃的なシーン。彼女が初めてタイムリープを経験する、まさに運命の分岐点となった場所だ。


映画では急な坂道として描かれているが、実際はゆるやかな平坦道。それでもこの踏切に立つと、あの瞬間の緊張と疾走感がよみがえるよう。この場所は、ファンの間で“聖地”と呼ばれていて、すべての『時かけ』ファンにとって必見のスポットであることは間違いない。
『時をかける少女』で描かれた、何気ない風景の美しさ、時間を超える思い、そして日常の中に潜む奇跡…、それらを今一度思い出させてくれる中井の街散策。最新作『果てしなきスカーレット』に向けて、細田監督が紡いできた“時間の物語”の系譜をたどるなら、まずはこの街を歩いてみてほしい。時を経ても色あせることのない作品の世界観を通じて、細田ワールドの原点を感じることができるはずだ。【ウォーカープラス/PR】
取材・文=水島彩恵
撮影=島本絵梨佳
■原作小説『果てしなきスカーレット』
著:細田 守
角川文庫 定価 946円(本体 860円+税)
https://kadobun.jp/special/scarlet/
2025年10月24日(金)発売

■児童文庫版『果てしなきスカーレット』
作:細田 守 挿絵:YUME
角川つばさ文庫 定価 946円(本体 860円+税)
https://tsubasabunko.jp/product/hateshinakisukarred/322505000194.html
2025年10月24日(金)発売

■映画『果てしなきスカーレット』
原作・脚本・監督:細田 守
https://scarlet-movie.jp/
(C)2025 スタジオ地図
2025年11月21日(金)公開

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